>> ● 満月WEB MAGAZINE 【うるる&さくら 離婚一年目症候群】

●プロフィール
うるる&さらら いつでもどこでもどんなときも、猫の存在をキャッチする、猫センサーがすばやく反応。推定年齢41歳。
 離婚してはや五年。その前に結婚生活が九年あって、同棲期間も含めると十年一緒に暮らした元夫は、いまやこの地球上で最も関心のない存在、他人の中の他人、キングオブ他人になりさがった。元夫がどこでどうしているのかなんて知らない。
だがときたま昔のことを思い出して、私のどこがいけなかったんでしょうと反省することもある。われながら、なんて殊勝な心がけと思うが、ハハ、なんのことはない、心の古傷を掻きこわして、痛がゆさを楽しんでいるだけだ。
そう、私は常に後ろ向きの女。ネガティブシンキングが私の信条。過ぎたことをグジュグジュ蒸し返す、女の腐ったような奴である。
それでやっとこの頃、この腐った性根の発酵具合がいい感じになって、ヴィンテージの味わいとなってきた。そこでこの際だから、みなさまにもご賞玩していただこうと思い至り、ここでウダウダ繰り言を述べようというわけ。聞きたくない? 
●離婚一年目症候群(第1回)

 離婚した当初は、「世間様に顔向けできない、はずかしい」という人並みの思い込みがあったので、自発的に自閉していた。だが、部屋にこもって、出かけるのは近所のクリニックに行くだけという生活をしていたら、どんどん自分がダメになっていくのがわかった。
このまま大人の引きこもりになるのもひとつの選択だったが、なぜだか知らないが、鬱状態のときは、年寄りみたいに早起きになる。
朝五時に目がさめて、掃除・洗濯をはじめると、午前中で全部終わってしまって、もうその日することがない。早起きのおかげで妙に活動的になってしまった身体は、一日中ゴロゴロすることが結構苦痛になっていた。
それならいっそ仕事に精進すればよかったのだが、そっちの方には頭が向かなかった。離婚の慰謝料と貯金で、半年ぐらいは食っていけると思っていたのである。後になって、この読みが甘かったことを悔やむのだが。
とりあえず夏間近だったので、近所の公営プールに通うことにした。
 そこで結婚していた頃にはできなかったゼイタクを、この際だから存分にしてやろうと、池袋西武に水着を買いに行った。
さて、何年かぶりの自分の水着姿。正視できないものがあるな。特に太モモ。なんですかこれは。はいこれがいわゆるキャピトンです。とブツブツ独り言を言いながら試着したら、XLサイズでぴったりだって。何それ。
とりあえずちょうどいいのがそれしかなかったので、選びようがなく選んだフィラの水着。それに合わせて親切な女子店員がコーディネートしてくれたピンクの水泳帽、ピンク×紫のゴーグル。それとビート板。
自分のものを定価で買うことが、むしょうにうれしかった。しかしこれがいざ会計という段になると、「もったいないよ」と後ろめたさが、私の腕をコソコソ物陰の方へとひっぱっていく。主婦していた頃は、バーゲン以外で買い物することなどなかったのだ。
まあいい。そうやってさんざん悩んだあげく、買った新しい水着を手に、さっそく次の日からプールに行った。