| ●離婚一年目症候群(第1回)
離婚した当初は、「世間様に顔向けできない、はずかしい」という人並みの思い込みがあったので、自発的に自閉していた。だが、部屋にこもって、出かけるのは近所のクリニックに行くだけという生活をしていたら、どんどん自分がダメになっていくのがわかった。
このまま大人の引きこもりになるのもひとつの選択だったが、なぜだか知らないが、鬱状態のときは、年寄りみたいに早起きになる。
朝五時に目がさめて、掃除・洗濯をはじめると、午前中で全部終わってしまって、もうその日することがない。早起きのおかげで妙に活動的になってしまった身体は、一日中ゴロゴロすることが結構苦痛になっていた。
それならいっそ仕事に精進すればよかったのだが、そっちの方には頭が向かなかった。離婚の慰謝料と貯金で、半年ぐらいは食っていけると思っていたのである。後になって、この読みが甘かったことを悔やむのだが。
とりあえず夏間近だったので、近所の公営プールに通うことにした。
そこで結婚していた頃にはできなかったゼイタクを、この際だから存分にしてやろうと、池袋西武に水着を買いに行った。
さて、何年かぶりの自分の水着姿。正視できないものがあるな。特に太モモ。なんですかこれは。はいこれがいわゆるキャピトンです。とブツブツ独り言を言いながら試着したら、XLサイズでぴったりだって。何それ。
とりあえずちょうどいいのがそれしかなかったので、選びようがなく選んだフィラの水着。それに合わせて親切な女子店員がコーディネートしてくれたピンクの水泳帽、ピンク×紫のゴーグル。それとビート板。
自分のものを定価で買うことが、むしょうにうれしかった。しかしこれがいざ会計という段になると、「もったいないよ」と後ろめたさが、私の腕をコソコソ物陰の方へとひっぱっていく。主婦していた頃は、バーゲン以外で買い物することなどなかったのだ。
まあいい。そうやってさんざん悩んだあげく、買った新しい水着を手に、さっそく次の日からプールに行った。
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